『未経験でも不安がない』地域のお年寄りの拠り所を仕事に。
法人加盟店舗 八本松店(広島県) 河井さん
- 加盟年度
- 2019年10月
- 売 上
- 平均月60万円
- 運営形態
- 法人
- 前 職
- デイケア施設代表(ケアマネージャー)
Q1.独立・開業のきっかけを教えてください
家工房を開業する前は、介護施設を運営していました。元々スタッフとして働いていた施設を、前経営者から譲り受けるかたちで代表に就任し、ケアマネージャーの資格も取って、丸5年施設の運営をしていました。
しかし、介護保険事業というのは制約が多いんですよ。仕事柄、利用者から困りごとを相談されることが非常に多かったのですが「介護保険ではそういうことはできません」と断るしかなく、それが重なるうちに介護保険事業の限界を実感するようになりました。
そこから「介護保険を利用しないお年寄りの方向けのサービスはないだろうか」と考えるようになったことがきっかけです。
Q2.数あるフランチャイズチェーンの中から家工房を選んだ決め手は何でしたか?
最初は、お年寄りの方にお弁当を届ける配食サービスを検討していたのですが、インターネットで調べるうちに、人助けになるほかのサービスがあることに気が付き、いろいろと調べるようになりました。その中で見つけたのが、家工房です。
そもそも、配食サービスを検討していたのは、地域のお年寄りの方に求められる仕事だからです。しかし、食事だけの事業よりも家工房の方ができる内容が多く、生活に密着したサービスなので需要も多いだろうと考えました。
そこで、家工房の説明会に参加し「どこまでのサービスを提供できるのか」「売上はどの程度なのか」「お客様はどのように獲得したら良いのか」といった具体的な話を、本部の担当者からマンツーマンで聞きました。
そして、加盟金などの初期費用が低いことや、本部が運営する別事業と協力して仕事ができるというところにも魅力を感じ、家工房へのフランチャイズ加盟を決めました。
Q3.異業種での起業について、周りの反応はどうでしたか?
ケアマネージャー仲間からは「思い切ったね!」と驚かれることもあったのですが、私自身に不安はまったくありませんでした。
お年寄りの方が多い地域ですし、お年寄りの方のお悩みというのは「簡単にできるようで、できなくなって困っていること」がほとんどなんですね。
実際に、「え、こんなことでお金をもらっていいの?」と戸惑うような依頼が多々あります。そのため、工務店や家事代行的な作業がまったくの未経験であっても、不安はありませんでした。
今は、デイケア施設の運営はオーナーとして関わるだけで、業務は委託しており、私は家工房の仕事に専念しています。
Q4.開業前に受けた研修ではどんなことを学びましたか?
研修では基本的な業務を一通り学ぶことができました。庭木の剪定から、エアコンクリーニングに、手すりの取り付けまで。しっかり知識を身につけ、あとは実践しながら体で覚えていった感じです。
研修では、とくにクリーニング関係の内容が充実していました。私は、洗剤に塩素系やアルカリ性があるということも知らなかったので、汚れの種類に応じて使う洗剤の選び方などが学べて面白かったです。
実際、お風呂掃除の依頼では何種類かの洗剤を使っているのですが、作業を見ているお客様に感心され、次の依頼につながることもあります。
Q5.八本末店にはどんな仕事依頼が寄せられますか?
圧倒的に多いのが、庭木の剪定です。あとは屋根の張り替えや、蔵の片付けが多いです。地域ならではの依頼では、庭の蛇口の凍結防止作業などがあります。
屋外の作業が85%ぐらいといった感覚ですが、クリーニングや手すりの取り付け、リフォームなど、室内のご依頼もあります。
私は手や体を動かす作業や、あれこれ工夫して方法を考えることが好きなので、資格や専門スキルが必要な依頼以外は、ほぼ自分でやってしまいます。
障子や畳の張り替えの依頼が来たときは、家工房の別のフランチャイズグループである「金沢屋」の事業所が近くにあるので、そちらに相談しました。金沢屋のオーナーとは、お互いに仕事を紹介しあうなど、上手くやっています。
Q6.仕事をするうえで困ったことはありますか?
開業初期の頃、建具の修理を依頼されたのですが、可動部分の部品をどこで調達すれば良いのかわからず、困りました。
しかし、本部から「困ったらすぐSV(スーパーバイザー)に電話してください」と言われていたので早速相談し、建具の写真を送ってアドバイスをもらいました。
また、風呂の塗装など、対応できるかわからない相談があった場合も、すぐにSVに電話します。お客様対応から見積の出し方、外注の選び方までアドバイスしてもらえるので、とても助かっています。
お客様も、私が本部に電話してすぐに回答するので、安心感があるようです。個人事業ではありますが「頼れる先輩がいるんだな」という感じでとらえていただいています。
Q7.お客様に家工房を知ってもらうために、どうやって集客していますか?
本部が手配してくれる新聞の折込チラシで、集客はしっかりできています。
あとは、口コミや紹介です。地域柄なのか、庭で作業していると、近所の人が「知らんヤツがなんかしてるぞ!」と様子を見に来られるんですね。
そして「何の仕事をしているんだ?」と声をかけられ、そこから「じゃあ、うちにも来てくれ」となることが意外に多いです。このような仕事の生まれ方は「まさに地域密着だなあ」と感じるので、すごく嬉しいです。
Q8.やりがいを感じるときを教えてください
一人暮らしのお年寄りの方からの依頼がほとんどですので、単純なことですが、感謝されるのが一番のやりがいです。
階段の電球交換のような簡単な仕事でも「自分ではできなくて、2~3年放ったらかしになって困っていたんだ」と感謝されると、「この仕事を始めて良かった!」とやりがいを感じます。
仕事は、内容にもよりますが、細かいものだと多くて1日に6~7件あります。最初から大きな案件というより、小さな案件から徐々に大きな案件がつながっていくことが多いですね。
あるお客様では、電球交換の依頼から始まり、次にお風呂掃除とちょっとした修理。その後、家全体のクリーニングや、不用品整理を頼まれ、最終的にはリフォームの依頼にまで発展し、トータルで1ケ月半ほどかけての仕事となりました。
最初から大きな依頼だと、お客様も他社と相見積もりをされるため、受注する可能性は低いんですよね。それよりは、こうした小さな案件から大きな案件につながる方が確実に受注できるので、面白いです。
Q9.家工房に加盟してからの変化を教えてください
家族と過ごす時間が圧倒的に増えました。前職では、子どもと遊ぶ約束を守れないことも多く、行事に参加することもなかなかできませんでした。ケアマネージャーでしたので、書類仕事で残業や土日出勤というのは当たり前でした。
しかし、今は家族優先でスケジュールを組んで仕事をすることができます。仕事時間はお客様に合わせて柔軟に対応しますが、日曜を定休にしていますので、しっかり休みを取れることはありがたいです。
Q10.これから起業しようとしている方への、アドバイスやメッセージなどはありますか?
前職が介護職だったからかもしれませんが、自分が後期高齢者になって一人暮らしになったら「誰かに生活を手伝ってもらったり、助けてもらえたりするだろうか」と不安になるときがあります。
今は「助ける側」ですが、いずれは自分も「助けられる側」になる。そうしたときに、家工房のようなサービスが身近にあって欲しいですし、そういう社会にしなくてはいけないのではないかと思うようになりました。
個人的には、介護保険事業には限界があると考えています。ですから、家工房で取り扱うような「困っているけど、誰に相談したら良いかわからない」作業のニーズは、今後ますます増えると確信しています。お客様のためにしていることが、将来まわりまわって自分のためになる。家工房の仕事とは、そういうものではないかと私は思います。