定年間近で開業。地域の過疎化や少子高齢化の問題に貢献できる仕事
個人加盟店舗 かほく店(石川県) 長田さん
- 加盟年度
- 2020年2月
- 売 上
- 初年度500〜600万円(10ヶ月)
- 運営形態
- 個人
- 前 職
- 会社員(小売業)、その後非正規雇用として小売りや工場に勤務
Q1.独立・開業のきっかけを教えてください
私は、10年ほど非正規で働いていたのですが、定年が迫ってきて「このままリタイアするのも心残りだ」と感じたことがきっかけです。
体もまだ動くので「元気なうちに自分で何かできないかな」と思い、いろいろなフランチャイズを検討していました。
Q2.数あるフランチャイズチェーンの中から家工房を選んだ決め手は何でしたか?
石川県は地方なので、人口も減っていて「単にお店を開いても難しいだろうな」と思ったことが、家工房を選んだ理由のひとつです。
地域にはお年寄りも多いので、お店をするよりも「地域の過疎化や少子高齢化という問題に、自分も何か貢献できるのではないか」という気持ちもあり、御用聞きをしようかなと考えました。
もちろん、他の業界もいろいろと興味は持ちました。しかし、ターゲットを絞ってしまうと人口の少ない地方ではチャンスが薄れると思い、手堅い事業だと感じた家工房に落ち着いたと経緯です。
Q3.営業や施工経験はありましたか?それとも初めてでしたか?
施工に関しては、全くの素人でした。また、営業については直接経験したことはありませんが、20年以上小売業で接客などもやってきたため、お客様とコミュニケーションを取ることへの抵抗感はありませんでした。
Q4.技術の習得でどんなことをしたのか、具体的に教えてください
依頼された内容や、これから依頼される可能性の高い内容について、とにかく一つひとつ勉強していきました。
自分でできない仕事は、職人さんに頼むこともあるのですが、その都度「これはどうなの?」と職人さんに尋ねることで、自分ができることをどんどん増やしています。
施工経験がない中で開業してまだ1年目なので、正直なところ「確実に、速く、丁寧に」仕上げられるということの方が少ないです。しかし、その代わりというわけではないですが、しっかりと時間を割いて最善を尽くすようにしています。
また、施工の際には当然お家に入れてもらうことになるわけですが、その際、なるべく周りを見回すことを心がけています。そして気づいたことをアドバイスさせていただいています。
これは心の余裕がないとできないので、次の予定が詰まっていたりすると、慌ててしまってできません。そのため、他のオーナーよりも施工には時間をかけているかもしれませんが、1件1件丁寧に対応させていただいています。
Q5.開業当初はどうでしたか?すぐに仕事が来ましたか?
2月の立ち上がりの頃は多くの依頼をいただきました。しかし、コロナ禍で緊急事態宣言が出て以降は依頼が減ってしまい、夏場は想定していた結果ではなかったです。
その後、世間が外出を始めたのと同時にじわじわと依頼も増えてきて、秋口にはたくさんの依頼がいただけたことは幸いでした。
しかし、冬に入った現在は、またコロナウイルスの影響で締め付けが強まっており、さらに北陸という地域柄、冬場は都会よりも人が外に出ようとしなくなることもあって、今後はかなり心配しているというのが正直なところです。
Q6.お客様に家工房を知ってもらうために、どうやって集客していますか?
基本的には、新聞の折込チラシで定期的な集客を行っています。また、時間の空いたときは、チラシをポスティングしたりもしています。
Q7.集客で工夫していることはありますか?
過去に仕事をいただいたご家庭には、定期的に近況のお便りを投函することで名前を忘れないでいただくような取り組みを行っています。
また、開業から1年ほど経ち、過去のお客様からのリピートや紹介といったかたちでのご依頼もいただけるようになってきたというのも事実です。
普段から「何か依頼に繋げられないか」という視点で考えながら仕事をしているのですが、それが実ってきているなと感じられて嬉しいです。
Q8.お客様と接するとき、意識していることはありますか?
田舎で事業をしているということもあり、とにかくお客様との信頼関係を築くことを重視しています。
例えば「電球交換100円〜」としているのですが、そのために10〜15分かけて車でお宅へ向かい、作業した後にはガソリン代も残らないということもあるものの、チラシに書いた以上はやらざるを得ません。
しかし、すぐに利益を得ようというのではなく、そういったきっかけから認知を広げ、信頼を得ていくことで、今後の依頼につなげることを考えて活動しています。
Q9.やりがいを感じる時を教えてください
かっこよく言うと、お客様から「ありがとう」と言われるのが、一番の満足感を得られる瞬間です。利益がどれだけ出るとかとは、別次元の話になります。
仕事をさせてもらって、その結果を見て「じゃあ、これも」とリピートいただけることは、非常に嬉しいです。
単純に「ありがとう」という言葉が嬉しいというのはもちろんのことですが、会社勤めと違って仕事がなくなる心配もあるので、リピートいただけた時の喜びと言いますか、高揚感は格別です。
Q10.今後の目標や展望を教えてください
もちろん「利益をいくら出したい」という数字的な目標は持っています。しかし、それとは別に、仕事の仕方として今後の目標としているのが、夫婦で事業に取り組むことです。
現在は私1人で活動していますが、ある程度お仕事が安定してきたら、妻と一緒に働きたいと思っています。
元々、妻は介護職をしていたため、高齢のお客様が多いこの仕事では大きな強みになります。お客様のお宅に伺って、私が作業している間に、妻が介護の視点からアドバイスなどをすることで、ほかのご依頼にもつながりやすいと考えています。
また、それ以上に、お客様と信頼関係を築く上では妻の力は大きいです。依頼を受けたとはいえ、男の私1人がお客様のお宅に伺うよりも、女性が一緒の方がお客様も安心できるでしょうし、心を開いてくれやすくなるのではないかと考えています。
Q11.この仕事に向いている人はどんな人だと思いますか?
家工房の仕事は、おじいちゃん、おばあちゃんのお宅に伺う仕事です。そのため、職人気質の人ももちろん素晴らしいとは思うのですが、それに加えて、営業力や営業意識の高い人が向いているのではないかと感じています。
お客様には、裕福な人もいれば、年金でギリギリの暮らしをしている人もいます。お客様に合わせて、時には柔軟な価格設定も必要になりますし「ついでにここもやっておくよ」というようなコミュニケーションも有効です。
相手に合った仕事をしつつ、信頼関係を構築してリピートや紹介につなげられるコミュニケーション力と、それを常に念頭において仕事をする意識が持てる人は、この仕事には向いている気がします。
Q12.これから起業しようとしている方へのアドバイスやメッセージなどはありますか?
事業で一番重要なのは「お客様のニーズにあった成果を提供できるか」ということです。
お客様によって年齢や住んでいる地域など、さまざまな環境で暮らしているため、抱えているニーズもそれぞれ異なります。さらに、「どんな人が、どんなものを求めているのか」というお客様の属性ごとのニーズを把握できれば、事業は成功しやすいと思います。
これから起業しようとしている方は「何が求められているのか」ということを、常に意識することをおすすめします。